2009年12月16日

道なき道を行く2人



今日はとてもおかしな日だった。
夕方、仕事でお世話になったので、お礼を言いにとある古本屋さんへ
行った。店主と世間話をしているところにやって来た常連のAさん。
「あー、Aさん。お久しぶり。こちらSさん(私)。
あ、Sさん、Aさんの生き様もね、本になるくらいスゴイんですよ」と
紹介されたところによると、過去の経歴はこんな感じ。

80年後半から90年代にかけてニューヨークでアーティスト活動、
(何時かは不明だけど)とある戦地で爆弾処理の科学部隊に入っていた。
その後、Italian VOGUEで記事を書いたり、
骨董の買い付けをしたりしている。
先日、来日していたとある大物ハリウッド俳優の通訳もしていたようで、
その瞬間にかろうじて、
「あ、あの映画、評判いいですよね」と言えた私。
こんな風にレールに全く乗らない生き方をしている人とお会いすると、
会社という非常に没個性な場所にいる私は戸惑ってしまい、
気の利いた一言もいえなくなる。

古本屋の店主が非常に柔らかな人で、3人の会話は弾んだわけだけど、
盛り上がったところで、
「Aさんは爆弾の知識は相当でね。東急ハンズにそろう素材くらいで、
都庁を爆破できるらしいです」という、嘘か本当かわからない話に、
「あら、丹下さんの建物は丈夫そうなのに、それはスゴイ!
ちなみに2つのタワーを同時に爆破ですか?」と
わけのわからない返ししかできなかった。
もう少し機転の利くお返事ができるようになりたいものです。

さて、家に帰ろうと地下鉄に乗っているとき、
遠くの車両に吊り下がる「BRUTUS」の中吊りがとても気になったのです。
いえ、今週の「本」特集にではなく、
その中吊りに出ていた名前にです。
見覚えのあるその名前、彼は私の同級生ではありませんか!

駅について真っ先に本屋さんへ。
極地建築空間として宇宙空間を研究していたのは建築専門誌「10+1」で
知っていましたが、なんと昨年から南極に行っていたのですね。
いやはや、本当に驚きました。

こういう突き抜けた活動をしている人の姿を知って、何とも嬉しい気分。
数年前、雑誌で彼の研究内容を見たときは、
正直「随分突拍子もないことをしているな」と思った。
でもそんな大多数の意見に揺るがず、
着々と学んできた人たちの研究が、何かしら実を結ぼうとしているなんて、
本当に誇らしいことです。

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