日曜日の朝も、いたるところで蚤の市やマルシェが
開催されているらしい。
今朝来たのはバスチーユのマルシェ。
バスチーユはサンジェルマン・デ・プレと違って、降り立った瞬間、
「庶民!」と感じる街でした。
ちょっと汚くて、ちょっと柄が悪い。うまく説明できないけれど、
良くも悪くも、10年前に感じたパリの「匂い」みたいなものを
ふわっと感じる場所でした。
会社の同僚は、「私はパリに何度も通って、バスチーユが好き」と
言っていたけれど、わからないわけでもない。
(私はイヤだけど)
パリのマルシェで感じたのは、買い物客の6~7割くらいが男性だった。
こちらキノコ専門のお店。
じっとみていると、なにやらフランス語で話しかけられたけど、
もちろんまったくわからず。
おじさんは、「このキノコはね、ガーリックとバターでさっと炒めると
おいしいよ!」と言っていると解釈し、
「Oui, Oui~」となんとなく相槌を打ってみる。
ベトナム料理屋さんもあった。
今朝起きたとき、「あー、すっぱい麺類が食べたい」と思った
気持ちが通じたように、パック売りのフォーがたくさん並んでいる。
食べたい、すすりたい!
正しいフランスパンはこう持つのね。
さて、2日間パリの市内の人ごみで疲れたので、
今日は市街地にショートトリップ。
バスチーユをお昼前に去り、向かうのはメトロの先のさらに先。
RER(フランス国鉄)に乗り換えて、Poissyという駅に向かいます。
ところが、メトロからRERに乗り換えるのに、
なぜか乗り換え口が見つからず、時間がかかって1時間ちょっと。
RERは「ちょっと危険」と噂は聞いていたけど、
確かにちょっと物騒な感じ。
絶対にウトウトしちゃいけない雰囲気です。
少し離れた席から、少年が鋭い目で私を見ている。しっかり、私!
車内で緊張したけど、ますます緊張したのはPoissyに近づいてから。
ものすごく怖い雰囲気!
なぜお昼間からあんなにたむろしている黒人がいるのか!?
ガラーンとしたPoissy駅に着きました。
パリ市内と気温が2~3度違うと感じる寒さです。
普通の人もいるけど、お迎えの車にササっと乗っていっちゃって、
あっという間に私一人になりました。
駅にとどまるも地獄、進むも地獄。
でも、まっとうな時間だし、せっかくここまで来たのだからと、
競歩級な早歩きで目指す建築へ行く。
本当はPoissyでお昼でも・・・と思ったけど、日曜日でお昼ごはんを
食べる場所なんて何にもない。
駅から離れれば怖い人はいなくなったけど、かわりに人もゼロになった。
そこでまたもピンチ。「すごくトイレに行きたい!」
ウロウロしたところ、退廃的なカフェ(?)を発見。
勇気を出してドアを開けたら、これまた失敗。
なんだか柄の悪い男性100%のお店でした。ギャフン!!
ここでうろたえると「アイツ、なんだ」って思われてしまうから、
努めてクールに、「ホットチョコレートください」。
屈強な男性陣が全員アルコールを摂取しているなか、
謎のアジア人女性は一人ホットチョコレートを飲みながら、
お手洗いを借りるタイミングを見計らうのでした。
(トイレはこれまた恐ろしい地下室)
私が恐れたような「地下室監禁」なんてことはなく、
トイレを済ませたならこっちのもの。
試飲のような速さでホットチョコレートを流し込み、
脱兎のごとくカフェを後にしたのでした。あー、怖い。
どんどん森の奥へ。
パリは青空だったのに、1時間電車に乗ればこんなに不吉な天気に。
やってきたのは、建築界の巨匠ル・コルビジェのサヴォワ邸です。
建築を学ぶ上で最初に学ぶのは、パルテノン神殿かサヴォワ邸か、
そんな基礎の基礎。バイブル的な建築です。
実はここに来たのは2度目。
最初は建築の「け」もわかっていない大学1年から2年にあがる時に。
研修でバスで連れてきてもらったもので、Poissy駅がこんな場所だとは
思いもしなかった。
卒業してまるで関係ない仕事に就いたけれど、
卒業後のほうがむしろ精力的に建築を見ているような気がする。
この建物についてちょっとは理解力が増えたのかどうか、
確かめたい思いもあって再訪したのでした。
建物を出るころにはすっかり晴れていました。
館内のノートを見ていると様々なことが書いてある。
下世話と思いながらも、日本人の感想をナナメ読み。
コルビジェへの思いを熱く語る人もいれば、
「明日の試合、絶対勝つ!」と、フランスで何の試合(柔道?)か
興味津津の書き込みまで、多種多様です。
およよ、こちら日本では知られた方ですが、ご本人でしょうか。
見終わったころには空腹も極限!
ついでに、パリの市内仕様の格好で来たもので、
この白い息が出る極寒の気温のなか、素足にバレエシューズという
軽装で来てしまった。
空腹→エネルギー欠如→保温効果減→寒い・・・という単純体系な
私にとっては、空腹&素足は命にかかわる。
小走りでモンスターがうようよするPoissy駅へ。
パリ市内に入り、見慣れたメトロ車内。
こういう色遣いのおじいさんを見ると、「おしゃれだな~」と思う。
今は冷静に見られるけど、「赤い靴下がおしゃれ」っていうより、
当時は「靴下がうらやましい」と思っていた。
極度におかなが空いていて、「こんな時はアレ!」と決めていたのが、
マレ地区にあるユダヤ人街のファラフェル。
10年前にパリに来たとき、なんとなく入った店のファラフェルの味に
衝撃を受けたもので、今回もどうしても食べたかった。
ところがどういうことか!
その店の前には、かつて新宿のクリスピークリームに見られたような
トグロを巻く行列が。
その行列を見た瞬間、泣き崩れそうになった。
ほ・ん・と・う・に、空腹なの!!
怒り心頭の私は、何の予備知識もなく、
石を投げて当たったようなお店に入店。
ほどなくして美味しいスープと、
フライドポテトで覆い隠されたラムチョップを食べてご満悦。
謎のアジア人女性が一人、ラムチョップを食べて息を吹き返した
瞬間でした。絶品じゃないけど、ワインも付けて20ユーロくらいだし、
まあ許す。
これからは関西のおばちゃん並みに、ポーチにお菓子をしのばせようと
決心した日でした。
さて、日曜日はお店はほとんどクローズなのでショッピングは望み薄。
夕方にかけてポンピドーセンターで過ごすことにしました。
なんとなく来てみたら、「ムンク展」を開催中。
ただ、「叫び」とか有名な絵が並ぶのではなく、
ムンクが執拗に描いたテーマを探る面白い企画でした。
この場でわかったのは、ムンクの異常な執着心と精神性。
たとえばこの絵。題名はなんと「Dead body on the road」。
黒々と塗りつぶされたものが死体らしいが、
ぐったり感や力なく重そうな体の雰囲気がよく伝わる。
こんな感じで「死体」が横たわる作品はいくつも描いていたらしい。
そのほか、火災で炎上する家や、夢遊病のように裸で歩く女性など、
そういう恐ろしいテーマを手を変え品を変え、
何枚も練習しているペインティングがずらっと並ぶ。
ムンクの作品は、遠ざけたいようでいて、ホラー映画のような癖になる感覚がある。
今回はホラー映画を恐る恐る覗き見るような感覚で2時間近くかけて展示を楽しみました。
案外高層なポンピドーの最上階からは、素晴らしいパリの夕焼けと、
ライトアップされたエッフェル塔が見えました。
別室では草間大先生の展覧会も開催中。
やれやれ疲れたので、カフェでひと休み。
「さっぱりしたものを・・・」とまたもDiet cokeを頼んだところ、
こんな紙の試飲カップのようなコーラで4ユーロって!
ひどいなあ。もうけ過ぎじゃない??
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