2011年11月22日

Nov20th: Paris 3rd day


日曜日の朝も、いたるところで蚤の市やマルシェが
開催されているらしい。
今朝来たのはバスチーユのマルシェ。
バスチーユはサンジェルマン・デ・プレと違って、降り立った瞬間、
「庶民!」と感じる街でした。
ちょっと汚くて、ちょっと柄が悪い。うまく説明できないけれど、
良くも悪くも、10年前に感じたパリの「匂い」みたいなものを
ふわっと感じる場所でした。
会社の同僚は、「私はパリに何度も通って、バスチーユが好き」と
言っていたけれど、わからないわけでもない。
(私はイヤだけど)


パリのマルシェで感じたのは、買い物客の6~7割くらいが男性だった。
こちらキノコ専門のお店。
じっとみていると、なにやらフランス語で話しかけられたけど、
もちろんまったくわからず。
おじさんは、「このキノコはね、ガーリックとバターでさっと炒めると
おいしいよ!」と言っていると解釈し、
「Oui, Oui~」となんとなく相槌を打ってみる。



ベトナム料理屋さんもあった。
今朝起きたとき、「あー、すっぱい麺類が食べたい」と思った
気持ちが通じたように、パック売りのフォーがたくさん並んでいる。
食べたい、すすりたい!

正しいフランスパンはこう持つのね。
さて、2日間パリの市内の人ごみで疲れたので、
今日は市街地にショートトリップ。
バスチーユをお昼前に去り、向かうのはメトロの先のさらに先。
RER(フランス国鉄)に乗り換えて、Poissyという駅に向かいます。

ところが、メトロからRERに乗り換えるのに、
なぜか乗り換え口が見つからず、時間がかかって1時間ちょっと。
RERは「ちょっと危険」と噂は聞いていたけど、
確かにちょっと物騒な感じ。
絶対にウトウトしちゃいけない雰囲気です。
少し離れた席から、少年が鋭い目で私を見ている。しっかり、私!

車内で緊張したけど、ますます緊張したのはPoissyに近づいてから。
ものすごく怖い雰囲気!
なぜお昼間からあんなにたむろしている黒人がいるのか!?

ガラーンとしたPoissy駅に着きました。
パリ市内と気温が2~3度違うと感じる寒さです。
普通の人もいるけど、お迎えの車にササっと乗っていっちゃって、
あっという間に私一人になりました。
駅にとどまるも地獄、進むも地獄。
でも、まっとうな時間だし、せっかくここまで来たのだからと、
競歩級な早歩きで目指す建築へ行く。

本当はPoissyでお昼でも・・・と思ったけど、日曜日でお昼ごはんを
食べる場所なんて何にもない。
駅から離れれば怖い人はいなくなったけど、かわりに人もゼロになった。
そこでまたもピンチ。「すごくトイレに行きたい!」

ウロウロしたところ、退廃的なカフェ(?)を発見。
勇気を出してドアを開けたら、これまた失敗。
なんだか柄の悪い男性100%のお店でした。ギャフン!!
ここでうろたえると「アイツ、なんだ」って思われてしまうから、
努めてクールに、「ホットチョコレートください」。
屈強な男性陣が全員アルコールを摂取しているなか、
謎のアジア人女性は一人ホットチョコレートを飲みながら、
お手洗いを借りるタイミングを見計らうのでした。
(トイレはこれまた恐ろしい地下室)

私が恐れたような「地下室監禁」なんてことはなく、
トイレを済ませたならこっちのもの。
試飲のような速さでホットチョコレートを流し込み、
脱兎のごとくカフェを後にしたのでした。あー、怖い。



どんどん森の奥へ。
パリは青空だったのに、1時間電車に乗ればこんなに不吉な天気に。


やってきたのは、建築界の巨匠ル・コルビジェのサヴォワ邸です。
建築を学ぶ上で最初に学ぶのは、パルテノン神殿かサヴォワ邸か、
そんな基礎の基礎。バイブル的な建築です。

実はここに来たのは2度目。
最初は建築の「け」もわかっていない大学1年から2年にあがる時に。
研修でバスで連れてきてもらったもので、Poissy駅がこんな場所だとは
思いもしなかった。



卒業してまるで関係ない仕事に就いたけれど、
卒業後のほうがむしろ精力的に建築を見ているような気がする。
この建物についてちょっとは理解力が増えたのかどうか、
確かめたい思いもあって再訪したのでした。






建物を出るころにはすっかり晴れていました。



館内のノートを見ていると様々なことが書いてある。
下世話と思いながらも、日本人の感想をナナメ読み。
コルビジェへの思いを熱く語る人もいれば、
「明日の試合、絶対勝つ!」と、フランスで何の試合(柔道?)か
興味津津の書き込みまで、多種多様です。

およよ、こちら日本では知られた方ですが、ご本人でしょうか。



見終わったころには空腹も極限!
ついでに、パリの市内仕様の格好で来たもので、
この白い息が出る極寒の気温のなか、素足にバレエシューズという
軽装で来てしまった。
空腹→エネルギー欠如→保温効果減→寒い・・・という単純体系な
私にとっては、空腹&素足は命にかかわる。

小走りでモンスターがうようよするPoissy駅へ。



パリ市内に入り、見慣れたメトロ車内。
こういう色遣いのおじいさんを見ると、「おしゃれだな~」と思う。
今は冷静に見られるけど、「赤い靴下がおしゃれ」っていうより、
当時は「靴下がうらやましい」と思っていた。



極度におかなが空いていて、「こんな時はアレ!」と決めていたのが、
マレ地区にあるユダヤ人街のファラフェル。
10年前にパリに来たとき、なんとなく入った店のファラフェルの味に
衝撃を受けたもので、今回もどうしても食べたかった。

ところがどういうことか!
その店の前には、かつて新宿のクリスピークリームに見られたような
トグロを巻く行列が。
その行列を見た瞬間、泣き崩れそうになった。
ほ・ん・と・う・に、空腹なの!!



怒り心頭の私は、何の予備知識もなく、
石を投げて当たったようなお店に入店。
ほどなくして美味しいスープと、


フライドポテトで覆い隠されたラムチョップを食べてご満悦。
謎のアジア人女性が一人、ラムチョップを食べて息を吹き返した
瞬間でした。絶品じゃないけど、ワインも付けて20ユーロくらいだし、
まあ許す。

これからは関西のおばちゃん並みに、ポーチにお菓子をしのばせようと
決心した日でした。

さて、日曜日はお店はほとんどクローズなのでショッピングは望み薄。
夕方にかけてポンピドーセンターで過ごすことにしました。



なんとなく来てみたら、「ムンク展」を開催中。
ただ、「叫び」とか有名な絵が並ぶのではなく、
ムンクが執拗に描いたテーマを探る面白い企画でした。

この場でわかったのは、ムンクの異常な執着心と精神性。
たとえばこの絵。題名はなんと「Dead body on the road」。
黒々と塗りつぶされたものが死体らしいが、
ぐったり感や力なく重そうな体の雰囲気がよく伝わる。
こんな感じで「死体」が横たわる作品はいくつも描いていたらしい。
そのほか、火災で炎上する家や、夢遊病のように裸で歩く女性など、
そういう恐ろしいテーマを手を変え品を変え、
何枚も練習しているペインティングがずらっと並ぶ。

ムンクの作品は、遠ざけたいようでいて、ホラー映画のような癖になる感覚がある。
今回はホラー映画を恐る恐る覗き見るような感覚で2時間近くかけて展示を楽しみました。



案外高層なポンピドーの最上階からは、素晴らしいパリの夕焼けと、
ライトアップされたエッフェル塔が見えました。



別室では草間大先生の展覧会も開催中。



やれやれ疲れたので、カフェでひと休み。
「さっぱりしたものを・・・」とまたもDiet cokeを頼んだところ、
こんな紙の試飲カップのようなコーラで4ユーロって!
ひどいなあ。もうけ過ぎじゃない??



Nov19th: Paris 2nd day


土曜日なので、今朝はヴァンプの蚤の市にやってきました。
am10:00、駅に降り立ち、「さてどっちか・・・」と思っていたら、
大量の日本人がどやどやと。
道を聞かなくてもどっちに進めばいいのか、よくわかりました。

蚤の市に足を踏み入れてすぐ、アンティークの着せ替えパーツを発見した。
「かわいい!」と小躍りしたのもつかの間、
じーっとみると、今の紙をわざとヨレヨレ加工にしたものだと気づく。
なんか興ざめ!



「お、いいな」と思うものは人並みなお値段で、
ロンドンに続き、蚤の市に対する期待と実態がなかなか合わない。
ただ、蚤の市のオーナー陣にはなかなか興味深い人がいて、
こうしてお店そっちのけでチェスなんかしちゃっているおじさんを見ると、
そっちのほうに興味がわいちゃう。



蚤の市は完全に空振りだったけど、天気の良さも手伝って、
まあまあ、来てよかった。
けど、2回は来ないかな。



さて、今回のパリ旅行で最も期待しているお店「merci」にやってきました。
ヴァンプの蚤の市のガッカリ感を帳消しにしてくれる、素敵なお店だった!
洋服も雑貨も食器も家具も、「ほしい~、ほしい~」と
心の中で何度も叫ぶ。
それにしても、雑貨は「made in Japan」率が高いのね。

日本でもあんなに露出しているのなら他の国でも同じらしく、
ここでもフランス語より英語、イタリア語が聞こえる率のほうが
高いような気がする。



午後1時もまわったので、私もここでお昼を食べることにした。
結局、one of ミーハーなのです。
かなり混雑していたので、「一人?10分くらい待って」と、
怪しい英語でお店の人から告げられる。
「フランスでは10分は30分のこと」と覚悟していたけれど、
意外にもきちんと10分で呼んでもらえた。ラッキー!

レストランはさすがにパリッ子率が高く、周りはほとんどフランス語。
黒板に書いてあるメニューも当然フランス語。
さて、どうやって注文しようかしら。ちょっとわくわく。



たまたま給仕してくれた女の人が上手な英語で、
メニューを丁寧に説明してくれた。


ということで、昨日のリベンジ。
食べたいものが思い通りにやってきました。
心の底から食べたかった山もりの野菜!
これ、5種類くらいのサラダの盛り合わせなんだけど、
アジアっぽいスパイシーな味付け、酸味のあるビネガーの味付けが
絶妙にミックスしていて本当においしい!おいしい!
緑の飲み物はキュウイベースのミックスジュース。
これもおいしゅうございました。
確かこれで17ユーロくらい。
1ユーロ130円時代なら「ひょー、高い」って価格だけど、
おいしかったし、「merci」価格ということで許す。



クリスマス仕様で、お店の前も素敵です。



この日のパリは、コート着て歩くとちょっと汗をかく暑さ。
とにかくお天気がよくて、気持ちがいいのです。
このあたりから、地図にかじりついて歩くのも疲れちゃって、
とりあえずふらふらと歩きまわってみる。



merciのあたり「北マレ」というらしいけど、このあたりは
ユニークなお店が多くて、マレの次に「クールな場所」らしいけど、
なんとなく納得。
観光客が往来する通りにも、しっかりと存在していたコインランドリー。
なんかいいね。



ふらふら歩いていたのが功を奏して、
なんだか感じのいい本屋さん兼ギャラリーを発見しました。
ギャラリーでは、Nathalie Du Pasquierという作家の作品展を開催中。
フランス人らしいです。
この作品がとてもすてきで、てっきりペインターかとおもいきや、
調べてみたらテキスタイルデザイナーだった。
そして建築にも大きくかかわる人らしい。
販売していた手作り本がほしかったけど、手作りだけあって薄いのに
60ユーロ。ちょっと断念・・・。



昨年ロンドンで初めて見て「おもしろい!」と思った雑誌「apartamento」も
こんなにそろう。
この雑誌、すごく好みの雑誌なんだけど、日本だと2000円を超えるお値段。
かといって、この先、雑誌を何冊もかついで移動するのは避けたいので、
悩んだ挙句、泣く泣く購入は断念。



YVON LAMBERTという本屋さん兼ギャラリーでした。
いいお店に出会いました。チェック、チェック。
ちなみにニューヨークにも支店があるみたい。
次はニューヨークで!


写真が逆になったけど、この本屋さんでこれもほしかった!
アーティストが作った世界に一つのトートバッグ。
写真で見るとショボいけど、すごくかわいいリボンが縫い付けてあったり、
手作りのバッジがくっついていたり、
実際は手が込んでいてほーんとにステキ。

でも、これまでの旅行先、旅行先で異様な量のトートバッグを買っていて、
自宅には身に(手に)余るトートバッグを保有する私。
こちらも泣く泣く断念しました。
(「作品」ということで100ユーロ超えたお値段だったし)

と、モタモタしているうちに日が暮れてきました。
今夜はディナーの約束があるので、約束場所のレ・アール駅へ。



ビストロに入って何が食べたいって、
日本ではすっかり縁遠くなった「タルタルステーキ」!!
旅先ではお腹を壊すようなもの(生ガキとか)は避けてきたはずだけど、
今日はどうしてもどうしても食べたかった。

タルタルステーキを日本人の私が頼むと、
店員さんは、「お客さん、タルタルステーキは焼いていないお肉ですが
大丈夫ですか?」と心配そうだけど、声を大にして「Of course!!」。

とはいっても、日本のタルタルステーキと違って、
ちょっとした巨大ハンバーグほどの大きさの生肉がドシーンと
お皿に盛られてくるから面くらう。
まさにフライパンに向かう前のハンバーグのような状態。
でも、でも! 結局、「おいしい、おいしい」と完食しました。

まったくバカな理論だけど、中に混ぜ込まれたピクルスのお酢で
バイキンは殺菌されていると信じている。
友人の前では、「ふふふ、そんなはずないよね」と言ってはいるけど、
結構信じているの。



ディナーが終わり、ホテルへ帰る途中、
お昼はぱったりとシャッターをおろしていたお店が
夜な夜な開店してクレープを売りさばいていると知る。
遠目に見ていると、パリジェンヌが集って楽しそう。

「私もあの中に入りたい!」

近づいてみると、白いTシャツがまぶしい屈強なおじさんが、
せっせせっせとクレープを焼いている。
まるで寿司屋の大将みたいなその出で立ちにも興味津津。
てんこ盛りのフライドポテトを食べた後だけど、
「数駅メトロに乗ったら、ちょっと消化したかも」という気になり・・・・



お砂糖かけたクレープを注文。
まったく英語の話せないおじさんだったけど、
「お砂糖のクレープが食べたいの!!」という熱意は伝わったみたい。

じゃりじゃりした砂糖とクレープの皮、シンプルだけど、
すっごくおいしい!
これで1.2ユーロ。トレビアン!


2011年11月21日

Nov18th: Paris 1st day


「猿の惑星」をみながら飛行機に揺られること12時間。


パリにきました。
大学の卒業旅行に来て以来10年ぶり。
モノクロで撮っていますが、青い空が美しいパリの朝です。

早朝4時に着く飛行機で到着したので、
ホテルの部屋に入れてもらえるはずはなく、
スーツケースを置いて、さっそくパリを歩くことにしました。



10年も来ていなければ当然「おのぼりさん」の状態で、
ホテルはサンジェルマン・デ・プレ、まず行くカフェは「カフェ・ド・フロール」。
高いし、はたしてそのお値段に見合う食べ物なのかは微妙だけど、
ウィークデーの朝だからか、ご近所のお金持ちが犬連れで新聞を読んでいたり、
高そうなスーツを着た人が打ち合わせをしていたり。
その「人間ウォッチ」代金をお支払いしている感覚かしら。

とりあえずホットチョコレート6.5ユーロ&クロワッサン2ユーロ。



一応アート好きなので、パリの橋の渡り初めは「PONT DES ARTS」で。
朝ごはんでパワーチャージしたあと、オランジュリー美術館にやってきました。
情熱的に西洋の絵を見たいわけじゃないけど、
「モネ専用の部屋」があるここは前から行ってみたかった。
自然光のなか、360度モネの「睡蓮」が見られる、
それはそれはすばらしい空間でした。

お客さんが全員出て行って、ほんの一瞬だけモネを独り占め。
「ここにお布団敷いて寝たい!」と思うような気分でした。


モネの部屋を出ると、なぜかこのおばあさんだけが
名画の模写を許されている模様。しかも油彩で(いいの?)。
しかも結構下手。
「なんで?」って聞きたいけど、フランス語ができないのがつらい。



続いてパレ・ド・トーキョーへ。
一昔前、マイケル・リンが床に作品を残して話題だったパレ・ド・トーキョー
だけど、なんでも来年のリニューアルにむけて工事中。
「レストランが大流行」と雑誌に書いてあったけど、
「TOKYO RESTAURANT」と名乗るお店はこの通り、大盛況でした。


なんかサラダみたいなのが食べたい・・・と思って入ったのに、
まったく想像外のお料理が運ばれてきました。
「Salada」の欄にあって、お店の人もたどたどしい英語で「ビーンズ!」と
言ってはいましたが、ビーンズを豚肉と煮込んだものが、
どうしてサラダの欄に・・・・。

まあ、おいしかったので結果オーライです。
Diet cokeと一緒に16ユーロ。



パレ・ド・トーキョーの本屋さんは床にもアーティストサインが。
神々しくてなかなか踏めません。

さて、ここで午後3時。さすがに午前4時から起きているので、眠くなりました。
ホテルにチェックインし、1時間ばかりお昼寝。



今泊まっているホテルのいいところは、
デパートのボン・マルシェが歩いてすぐなところ。
ちょっと疲れて出かける気がしないので、ボン・マルシェで晩ごはんを調達。


高級そうな食材がそろい、なんでもかんでも量り売りしてくれる。
今夜はこの高そうなスモークサーモンにしました。
巨大だけど2スライスで1100円!ひょー。



驚いたのはこのバター。
好物のこのバターは「セル・ドュ・メール」というもので、
日本の成城石井だと1500円もする。
それが本国パリでは1.83ユーロ(200円くらい?)!
岩塩入りで本当においしいから、何個も買いたいけど、
イギリスに行くから無理かな・・・。



なぜか限定版「高田賢三プリント」ティッシュ(しかも今話題のクリネックス)
も販売中。しかも結構売れていて品薄状態だった。
ウケ狙いでお土産によさそう。